通訳ガイドが体験!金箔職人のマスタープラン 後編|金沢・文化体験

前編では金箔づくりの全体像を学びましたが、いよいよ細かな工程を体験する時間です。

職人さんの指導のもと、ひとつひとつの作業に挑戦。まるで金箔の歴史を追体験するような贅沢なひとときでした。

英語のスペシャリスト・金沢在住の通訳案内士のfumieです。

金沢、白川郷エリアを中心に活動しています。

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「菊づくり」—和紙を菊の花びらに見立てる職人技

まずは本店裏の作業場へ移動。箔座創業の地です。

金沢には金箔職人さんが20名ほど。そのうちの3人がここ箔座に所属されています。

体験は「菊づくり」からスタート。金を挟むための和紙を仕込む作業のひとつです。

薄い和紙を4枚ずつ取り、指サックを使いながら時計回りにずらしていきます。

この動作を10回繰り返すと、見た目がまるで菊の花びらのように仕上がります。

同行したK女史は驚くほどのスピードでコツを掴み、次々と仕上げていきました。

一方で私といえば…手先の不器用さを痛感。何度試しても綺麗な形に仕上がらず、少し凹みました(笑)。

ちなみに紙一枚一枚にいろんなハンコが押されていますが、裏表がわかるようにするためだそうです。

「あく打ち」—和紙に生命を吹き込む工程

次は「あく打ち」。和紙を一晩水に浸け、専用の機械で叩いて水分を均等にします。

叩いた後の紙を一枚一枚剥がし、また叩く。これを何度も繰り返し、後に「灰汁(あく)」と呼ばれる特別な液に浸します。

さらに水分を抜き、剥がし、叩くを繰り返します。

この作業を何度も繰り返すことで、紙が金箔を受け止める強さと柔軟性を持つようになるのです。

この仕込みだけで半年、さらに技術を習得するのに10年かかると聞き、金箔づくりの奥深さを改めて感じました。

「打ち前」—金箔の形を整える衝撃の工程

次に目の当たりにしたのが「打ち前」用の機械。

1分間に700回、1トンもの力で金箔を叩く姿は圧巻です。

紙に挟まれた金を均一に伸ばすためのこの工程では、なんと1,800枚もの紙を束ねたものが叩かれます。

耳をつんざくような音とともに叩かれる金箔。

打ち前の作業場はお店と防音ガラスで仕切られています。

驚いたのは職人さんが保護用の手袋も使わずに作業をしていること。

これもまた経験と技術の賜物なのだと思いました。

「仕入れ」とは、一瞬の緊張を楽しむ作業

完成した紙に金を挟み込む「仕入れ」工程では、竹製のピンセットを使います。

なぜ竹製なのかといえば、金箔が静電気の影響を受けやすいから。

職人さんが丁寧に金箔を配置していく姿は、まるで芸術家のようでした。

私も挑戦しましたが、竹製のピンセットの感覚に慣れるまで一苦労。

緊張の連続でしたが、徐々にコツを掴み、なんとか金を紙に挟み込むことができました!

ここで挟む金は耳元で振るとかさかさ音がするくらいまだ厚くて硬いです。

「抜き仕事」—金箔を紙から引き剥がす繊細な工程

いよいよ金箔が完成に近づきます。

「抜き仕事」では、薄く仕上がった金箔を専用の道具を使って紙から取り出し、「広物帳」に挟み込んでいきます。


この工程で必要なのは、天狗爪と呼ばれる指先の道具。

金箔を傷つけることなく扱うための必須アイテムです。

髪の毛の900分の1という驚異の薄さを持つ金箔。

その繊細さに手が震える場面もありましたが、職人さんの手さばきを真似てなんとか作業を進めました。

手風で金箔を広げる技も教えてもらいました!

菊づくりで凹んだ分、なんとかここで挽回できました(笑)

最終工程「移し仕事」—裁断の一瞬に込める技術

完成した金箔を裁断し、「箔合い紙」に挟み込む作業。

これが「移し仕事」と呼ばれる最後の工程です。


裁断には竹枠を使い、ほぼ正方形に仕上げます。

このとき、枠を押しすぎると金箔が割れてしまうため、慎重かつ繊細な力加減が求められます。

そっと息を吹きかけて平にし、裁断した金箔を、箔合い紙という薄い和紙の間に挟みます。

するとまるで金箔が縁取られように見えることから「縁付金箔」と呼ばれるのだそうです。

まとめ—金沢が誇る「縁付金箔」の魅力

今回の体験を通して、一枚の金箔がどれほどの時間と技術の積み重ねで生み出されているかを肌で感じました。

金箔文化がユネスコの無形文化遺産に登録された理由が、今ではよく理解できます。

金沢を訪れる方には、ぜひこの金箔づくり体験をおすすめしたいです。

一つ一つの工程を知ることで、金沢の伝統工芸がより身近で特別なものに感じられるでしょう。

体験の思い出として、私の「マイ金箔」はラミネート加工してもらい、大切に飾る予定です。

金箔を通じて、地元の伝統文化をさらに誇りに思うことができました!

投稿者プロフィール

fumie
金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC970点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。

この記事を書いた人

fumie

金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC970点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。