金沢くらしの博物館で戦前 戦後の暮らしを見てみよう!|金沢・くらしと文化

英語のスペシャリスト・金沢在住の通訳案内士のfumieです。

今回は金沢くらしの博物館の常設展のレポートです(前回の企画展のレポートはこちらから)

金沢に古くから伝わる風習や暮らしに関心のある方、ノスタルジックな雰囲気がお好きな方は必見です!

まずは戦前のくらしのコーナーから見ていきましょう!

伝統芸能「加賀獅子」

紅殻(べんがら)の赤い壁の部屋の床の間に飾られている獅子頭。

今からおよそ200年前に作られたもので、幕末の名工・武田友月作と伝わっています。

金沢の獅子舞は「加賀獅子」と呼ばれる伝統芸能。

古くは藩政期、加賀藩祖前田利家が金沢城に入城した時に庶民がお祝いとして獅子頭を送ったのだとか。

加賀獅子は獅子と戦う棒振りと獅子の頭を支える頭持ち、そして獅子の胴体部分を表す蚊帳(かや)の中で演奏する囃子方で構成されています。

お祭りになると加賀獅子が演じられて町中で盛り上がります。

地元のお祭り以外では毎年6月に行われる市祭「百万石まつり」のパレードで加賀獅子の演技を見ることができます。

獅子舞が沿道の人の頭を噛み付く動作をすることがありますが、それは災いを払うためと言われています。決して意地悪しているわけではないのでご安心を!

四季のお菓子「金花糖」と「氷室饅頭」

金沢の四季の行事に欠かせないのがお菓子。

桃の節句に雛飾りと一緒に飾られる金花糖(きんかとう)は色とりどりに着色された砂糖菓子です。

鯛や果物など形作られた甘いお菓子は子供たちの大好物。

私も子供の頃食べるのを待ちきれずにこっそりとかじっていました!

金沢では7月1日になると氷室饅頭というこしあんの入った酒饅頭を食べます。

藩政期、加賀藩前田家が将軍家に氷を献上していたことから始まった風習です。

本格的な夏が始まる前に、庶民が無病息災を祈願して食べていたそうです。

「金沢の奥座敷」と呼ばれる山間の温泉地、湯涌温泉では冬の間雪を保管する氷室があり、6月末になると氷室開きが行われます。

氷室開きが近づくと金沢市内のお菓子屋さんの店頭には氷室饅頭が並びます。金沢の初夏の風物詩です。

藩政期から伝わる工芸「加賀毛針」

加賀毛針は古くから鮎釣りに使われる擬似餌です。藩政期、金沢では武士の間で鮎釣りが大変盛んでした。

外様大名の加賀藩は、常に将軍家から睨まれていたため、公に武芸を奨励することができませんでした。

そこで武芸の代わりに釣りで心身の鍛錬を行っていたんだとか。厳しい幕府の目を逃れるため、知恵を働かせ危機に備えていたんですね!

武士のたしなみの道具として始まった毛針も、今では金沢の伝統工芸のひとつになっています。

ハレの日に仕込む「押し寿司」

春と秋のお祭りや婚礼などのハレの日に、各家庭では押し寿司を仕込みます。

大きな木枠に酢でシメた魚をのせてその上に酢飯、さらにその上に紺色のノリや桜エビ、ショウガをのせて経木をあてます。

これを何層か繰り返して、最後に押しをして一晩寝かせます。

今でこそ作る家庭は少なくなりましたが、金沢では普段から市販の笹寿司をよく食べます。

私が嫁いできた頃はお祭りになると義母がよく押し寿司を作ってくれました。

花嫁がくぐる「花嫁のれん」

花嫁のれんは、幕末から明治時代から伝わる、加賀藩の婚礼の風習の一つです。

嫁入りの時に嫁ぎ先の仏間に掛けられたのれんを、花嫁がくぐります。

元々木綿の生地に友禅で模様を染めたそうですが、やがて羽二重や絹に染めるようになったのだとか。

写真中央ののれんには仲睦まじい夫婦のシンボル、鴛鴦(おしどり)が描かれています。

花嫁のれんは婚礼以外に子供が生まれた時などおめでたいことがあったときにもかけられるそうです。

ひゃくまんさんのモデル「加賀八幡起上り」

加賀八幡起き上がりは元々第15代応神天皇が生まれた時に着ていた赤い産着姿を現した縁起物の人形です。

昔は子供の健康や幸せを願って贈られたそうです。

今ではは地元のゆるキャラ「ひゃくまんさん」のモデルとして有名です!同じ形の最中も金沢のお土産として人気です。

姫の嫁入り道具「加賀手毬」

藩政期、加賀藩前田家は将軍家との関係を良好に保つために婚姻関係を結んでいました。

将軍家から前田家へ最初にお嫁に来た珠姫樣が嫁いだのはわずか3歳。

その時に江戸から持参した手鞠が加賀に伝わり、娘の幸せを願う縁起物として嫁入り道具のひとつになったと言われています。

現代の加賀手鞠は進化を遂げ、カラフルな色や緻密かつ現代風のデザインが目を引きます。

海外のゲストにも好評でお土産に買って帰る人も多くいます。

さて戦前のくらしのコーナーはここまで。懐かしい戦後の時代へタイムスリップです!

懐かしい昭和の思い出の品々

戦後のくらしのコーナーには懐かしい昭和の思い出の品々が展示されています。

竹下駄は明治~昭和中期の子供たちが「きんかんなまなま」(金沢弁:雪が固まってつるつるになった状態)の道を滑るスケート用の下駄。

冬、雪が降ると家の玄関先で強引に雪山を作って、プラスティック製のミニスキーを履いて滑って遊んでました!

コシキダは雪すかし(金沢で雪かき)する時に使います。子供用が可愛いです!

江戸時代後期~昭和中期の子供たちが遊んだ旗源平(はたげんぺい)は子供たちがお正月に遊ぶゲームです。

源氏と平氏の2チームに別れて対戦します。二つのサイコロを振って、出た目で旗を取り合います。

一番良い目は「1と5」で「うめがいち」加賀藩前田家の家紋「梅鉢」の梅の花びらが5枚なので、さいころの「5」の目を梅と見立てて「うめがいち」です。

今でも冬になると地域の公民館や児童館で遊ぶことがあります。

持ってました、ソノシート!雑誌「小学◯年生」の付録にありました!

今も小学生の時に買ってもらった「ドレミ」というレコードプレーヤー持ってます!

ラジカセ欲しくて必死にお年玉貯金して買いました!A面B面のオートリバースありましたね!

こっそりベッドの中に忍ばせてイヤホンで深夜ラジオ番組を聴いていました!

再現!昭和の生活空間

昭和の雰囲気たっぷりのお茶の間。

ガチャガチャ回すチャンネルのついたテレビ。黒電話。なぜかどこのうちにもあったガラスケースに入ったフランス人形。台所との間にかけられた玉のれん。壁にはボーンと音のなる掛け時計(時々止まった)など。

昔はテレビが一家に一台だったからお茶の間で団らんが当たり前。

見たいテレビ番組のために壮絶な戦いを繰り広げたチャンネル争い!思い出が溢れてきます!

台所には焼けたらポンと出てくるトースター。側面にレバーと焼き加減を調整するツマミが。

そして思い出深いジューサーミキサー。りんごのフレッシュジュースが子供の頃の大好物でした!

気がつけば戦後のくらしコーナーだけで1時間くらい過ごしていました!思い出にどっぷりと浸ったひとときでした。

大正生まれの大きな古時計

金沢くらしの博物館の玄関の壁には鎌倉彫が施された大きな柱時計が。

大正時代に作られた時計で、元は金沢市庁舎の市議会議場にあったそうです。

約100年間もの間、時を刻んできた現役の時計ですが、時々時間がずれたり、止まったりするそうです。しかしその存在感は変わらぬ重みがあります。

使ってみよう!貸し出しタブレット

館内にはところどころに番号が貼られていて、貸し出し用のタブレットで読み込ませると動画でさらに詳しい説明が見聞きできます!なんとりくつな!(金沢弁:便利な)

金沢くらしの博物館は、親子三世代で十分楽しめる施設です。夏休みの宿題のリサーチにも利用できそうですね!

金沢の戦前、戦後のくらしの様子をぜひ味わってみてください!

金沢くらしの博物館へのアクセス

金沢くらしの博物館は兼六園の小立野口料金所から徒歩3分。紫錦台中学校の校門を入って正面です。

専用駐車場がありますが、台数が限られていますので公共交通機関か近隣のコインパーキングのご利用をお勧めします。

バス:JR金沢駅兼六園口(東口)7番乗り場から11、12系統のバスで約15分。石引町で下車して徒歩1分。

住所〒920-0938 石川県金沢市飛梅町3−31
開館時間9:30~17:00 (入館は16:30まで)
電話番号076-222-5740
休館日展示替え期間、12/29~1/3
入館料一般310円、団体(20名以上)260円
65歳以上・障害者手帳をお持ちの方およびその介護人210円(祝日無料)、高校生以下無料
その他年間パスポート(共通観覧券)利用可能
駐車場5台(車いす用駐車場・スロープあり)
ウェブサイトhttps://www.kanazawa-museum.jp/minzoku/

投稿者プロフィール

fumie
金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。

この記事を書いた人

fumie

金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。