人気観光スポットひがし茶屋街の今と昔|金沢・お茶屋文化

英語のスペシャリスト・金沢在住の通訳案内士のfumieです。

地元・金沢の魅力を伝えたくてこのブログを始めました。これからどんな記事を書いていこうかな、とわくわくしています。どうぞよろしくお願いいたします!

記念すべき初投稿は、私の大好きな街「ひがし茶屋街」です。金沢のお茶屋文化に興味のある方にぜひ読んでいただきたいです。

昔ながらの街並みが残るひがし茶屋街

金沢には「ひがし」「にし」「主計町」と三つの茶屋街があり、「ひがし」はその中で一番大きな街です。

ひがし茶屋街は文政3年(1820年)加賀藩の公認の下、オープンしました。今年(2020年)で200年の節目の年になります。当時に建てられたお茶屋の建物が今も残っています。

今や兼六園に並んで人気観光スポットのひがし茶屋街。メディアで紹介される金沢の代表的なイメージにもなっていますね。

お茶屋とは?

国指定重要文化財 志摩

お茶屋とは芸妓さんを招き「お座敷遊び」を楽しむところです。かつては商家の旦那衆が馴染みのお茶屋に通い、芸妓衆と芸を披露しあいながら宴を楽しみました。「花街」の代表格である京都の祇園などが有名ですね。

以前若い日本人のお客さんに「茶屋街ってどんなお茶が飲めるんですか?」と聞かれたことがあるんですが、お茶屋文化は学校では教えてくれないジャンルですから知らないのは無理もありません。私も今の仕事をしていなかったら知ることのない世界でした。

ひがし茶屋街では数軒のお茶屋が今も営業を続けています。かつてはたくさんあったお茶屋も今では5軒にまで減り、現役で活躍する芸妓さんはひがし茶屋街だけでわずか12名になってしまいました。

かつてのひがし茶屋街の様子

東新地絵図 金沢玉川図書館蔵

幕末当時を描いた絵図です。ひがし茶屋街は当時「東新地(ひがししんち)」と呼ばれていました。街全体が板塀に囲われ、出入り口に木戸が設けられていました。当時芸妓さんはここでお客さんをお見送りしていたそうです。

絵図にはお茶屋の二階でお客さんがお座敷を楽しむ様子も描かれています。当時江戸時代は庶民が二階建ての建物を立てることが許されていませんでしたが、東新地は加賀藩から特別に認められていました。

よく見ると木戸の周辺には町民に混じって刀を差したお侍?のような人たちもいます。当時はお侍さんもお茶屋で遊んだりしたんでしょうか?もしかしたら商人に身をやつしてこっそり遊んでいたのではないか⁈と想像が膨らんでしまいます。時代劇の見過ぎでしょうか?(笑)

ひがし茶屋街の今

今のひがし茶屋街のちょうどこの辺りに木戸がありました。絵図の木戸正面に描かれている柳のレプリカも立っています。

金沢の街中にはこのような「広見(ひろみ」と呼ばれるスペースがいくつかあります。いざ火事が起きた時の消防活動のためのスペースでした。今は周りに土産店やギャラリー、カフェがあって、たくさんの観光客が行き交っています。

紅殻(べんがら)格子の秘密

茶屋街には正面が朱い格子の建物があります。紅殻(べんがら)という酸化鉄が原料の朱い顔料が塗られています。昔酸化鉄の産地のインドのベンガル地方から輸入されたことからその名前がついたそうです。

そしてこの格子、中から外はよく見えるのですが、外から中はなかなか見えません。住人のプライバシーを守る工夫になっています。

夜のひがし茶屋街

夜になるとガス灯に火が灯り、昼とは違いしっとりとした雰囲気に。なぜか夕暮れ時になると外国人の観光客が多くなります。京都の祇園とイメージが重なるのでしょうか?うまくしたらお座敷に向かう芸妓さんに会えるかも?という期待があるのかもしれません。

観光地ではなかった頃のこと

私が嫁いできた二十数年前、茶屋街は今のような観光地ではありませんでした。「ひがし茶屋街」と呼ばれるようになったのは市の政策で観光化され始めた十数年前のことです。地元のお年寄りは今も「郭(くるわ)」と呼んでいます。

その頃は昼間はほとんど車も人通りもない、眠ったようなとても静かな街でした。私の自宅から歩いて数分なので、子供たちが小さい頃よく通ったお散歩コースでした。

今のような石畳ではなく普通のアスファルトで、放課後になると近所の子供達が通りで遊んでいました。

観光化が進んで、次々とお店がオープンし、2015年北陸新幹線が開業してからというもの、国内外からのたくさんの観光客で賑わうようになりました。

でも新型コロナウィルスの影響で、茶屋街もすっかり人が消えてしまいました。緊急事態宣言中、気晴らしに散歩で通りかかったら、子供たちが通りにロープを渡してバドミントンをして遊んでいました。

近所の人たちがその周りの縁石に腰掛けてお喋りしながら「なんか昔に戻ったみたいやねぇ」と懐かしそうに話していました。

さて今ではたくさんの人が訪れる茶屋街ですが「お茶屋ってどんなシステムになっているの?」「誰でもお茶屋に入れるの?」と疑問に感じる人も多いと思います。

次回は、教科書には載っていないお茶屋文化について詳しくお伝えします。どうぞお楽しみに!

ひがし茶屋街へのアクセス

  • 車:金沢駅から約10分 / 金沢東IC・金沢森本ICから約15分、金沢西ICから約25分 
  • 公共交通機関:城下まち金沢周遊バス・北陸鉄道路線バス・西日本JRバス「橋場町」バス停から徒歩約5分 金沢ふらっとバス材木ルート「浅野川大橋」バス停から徒歩約5分

    ひがし茶屋街周辺にコインパーキングがありますが、週末、祝日は混み合うことが予想されます。バスやレンタサイクルなどの公共交通機関のご利用をお勧めします。

投稿者プロフィール

fumie
金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。

この記事を書いた人

fumie

金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。