金沢・知られざる茶屋街の謎に迫る|金沢・お茶屋文化

英語のスペシャリスト・金沢在住の通訳案内士のfumieです。

今回は地元・金沢の情報をお届けする第二弾!教科書には載っていないお茶屋の謎に迫ります!

茶屋街って何?

まずは前回のおさらいから。茶屋街は、お茶屋と呼ばれる建物が立ち並ぶエリアです。かつて裕福な商家の旦那衆が芸妓衆を呼んで、お茶屋で宴席を催しました。

ここ金沢にはこのような茶屋街が全部で三つありますが、ここひがし茶屋街は金沢では一番大きな茶屋街です。

お茶屋ルール「一見さんお断り」

今も昔もお茶屋の基本ルールは「一見さんお断り」

どんなにお金持ちであろうと、信用がなければお茶屋の出入りは許されません。

お茶屋でお座敷遊びしたい時は馴染みのお客さんに連れてきてもらう方法があります。

お馴染みさんに何度かお呼ばれして、お茶屋の女将さんの信用を得ていきます。

国指定重要文化財 志摩を見学してみよう

国指定重要文化財 志摩

ひがし茶屋街には現役のお茶屋が5軒あり、一般には公開されていませんが、唯一お茶屋文化に触れることができる施設があります。

「国指定重要文化財 志摩」はひがし茶屋街のメイン通りの中程にあります。約90年前に廃業し、当時の姿を留めたお茶屋です。ひがし茶屋街が開かれた1820年(文政3年)に建てられた貴重な建物のひとつです。

志摩は築200年の元お茶屋

玄関先から二階に伸びる急な階段。上を見上げると天井に明かり取りが見えます。高い天井は音を逃すための工夫です。家の柱は腐食防止の漆が塗られています。お茶屋に着いたお客さんはこの階段を登って2階のお座敷へ通されます。

2階には紅殻(べんがら)のお座敷

2階の前座敷の壁は鮮やかな赤い紅殻(べんがら)で当時の商人に好まれた色です。お客さんは床の間を背にして座り、隣の控えの間で披露される芸妓さんの芸を楽しんだそうです。

当時は芸妓さんだけではなく、お客さんも芸を披露していました。それだけ教養を備えた商人たちがお座敷遊びを楽しんでいたというわけです。

「散財太鼓」でお茶屋遊び

金沢の芸妓さんはお座敷で太鼓の芸を披露します。この「お座敷太鼓」は金沢独特の芸で、大太鼓と締太鼓が対で、三味線の音に合わせて演奏します。かつてこのお座敷太鼓を習いに足繁く通ったお客さんがいたことから「散財太鼓」と呼ばれています。今でもお座敷では芸妓さんと一緒に太鼓を叩くこともできます。ちゃんと叩き方を教えてくれるのでご心配なく!

伝説の「闇笛

先ほどの赤い紅殻の部屋とは打って変わってここは離れにある数寄屋風造りのお部屋。数寄(すき)とは和歌や茶道を楽しむことです。お座敷で大はしゃぎした後、ここでクールダウンしていたのでしょうか?この部屋に足を踏み入れると笛の音のBGMが聞こえます。その昔、高齢の芸妓さんがお客さんのために暗闇の中で笛を演奏した「闇笛」という有名なストーリーがあります。暗闇の中で聴く笛の音ってロマンチックですねぇ。

昔ながらの台所

1階に降りると台所がありますが、昔からお座敷でお客さんに出されるお料理は仕出し。今で言うケータリングです。お茶屋の台所ではお酒を準備していました。漆の大きな片口やお酒の徳利などがたくさん。時代劇に出てきそうな井戸やかまどもあります。

1階はオーナーのプライベート空間

1階はお茶屋のいオーナーである女将さんのお部屋があります。2階と違って天井が低く、押し入れや仏壇があります。縁側でここでしばし中庭を眺めるのも良いですね。

お茶屋の支払いシステム

女将さんが事務仕事をする帳場。お座敷を楽しんだら「はい、お会計」ではなく支払いは後日。基本お財布なしで遊べます。お茶屋が一見さんお断りなのもここに理由があります。昔は盆と暮れにまとめて支払う節季払いだったので、やはり信用第一の世界だったわけですね。

贅を尽くしたお座敷遊び

展示室にはお座敷で使った盃など贅沢な装飾を施した品々が。さぞかしきらびやかな世界だったことでしょう!お座敷では太鼓を使ってジャンケン遊びなどいろんなゲームをして楽しみますが、ゲームに負けたら罰杯(ばっぱい)と言って出された盃でお酒を飲み干さなくてはいけません!でもお酒の苦手な方は無理しないでくださいね!

お抹茶処「寒村庵」でお抹茶と上生菓子を

お抹茶処 寒村庵

志摩に来たら必ずお抹茶処「寒村庵」で上生菓子とお抹茶を頂きましょう!お庭を眺めながら疲れた脚を伸ばしてのんびりすることができます。このお抹茶処はひがし茶屋街の隠れた名所です。

現代のお茶屋文化とは

海外のゲストをひがし茶屋街へお連れするときは必ず志摩に立ち寄ります。ハリウッド映画などメディアの影響で古いイメージをいまだに持っている人も少なくありません。

暗い歴史もありますが、現代の芸妓さんはキャリアの選択の一つです。大学を卒業して就職するように、芸妓の世界に入る女性もいます。伝統文化の担い手として重要な役割を持つ芸妓さんを心から尊敬します。

金沢の大切な文化の一つとしていつまでもこのお茶屋文化が続いてくれることを願います。

国指定重要文化財 志摩へのアクセス

JR金沢駅から車で約10分。ひがし茶屋街周辺にいくつかコインパーキングがありますが、繁忙期は混み合いますのでご注意ください。武蔵ヶ辻もしくはJR金沢駅周辺に駐車して、バスか徒歩で来られるのがお勧めです。

最寄りのバス停「橋場町」から徒歩約5分。レンタサイクル「まちのり」を利用の場合は、⑦東山A・浅野川大橋(橋場町バス停がある交番の横)のサイクルポートが近いです。

名称国指定重要文化財 志摩
住所〒920-0831 石川県金沢市東山一丁目13-21
電話番号076-252-5675
開館時間9:00~18:00 / 冬期(12月~2月)9:00~17:00
閉館日無休
入館料大人:500円、小・中学生:300円(団体20名以上:50円引き)
お抹茶処 寒村庵 上生菓子付き:700円、干菓子付き:500円(入館料別途要)
駐車場なし。近隣のパーキング、もしくは公共交通機関をご利用ください。
ウェブサイトhttp://www.ochaya-shima.com
入館際しての注意文化財保護の為、館内への持ち込みは携帯・スマートフォンのみ(写真撮影可・
ビデオ撮影不可)手荷物・カバン用のコインロッカーあり。

投稿者プロフィール

fumie
金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。

この記事を書いた人

fumie

金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。