加賀百万石ゆかりの高岡・勝興寺は七不思議の寺|金沢・歴史旅

英語のスペシャリスト・金沢在住の通訳案内士のfumieです。

今回は加賀百万石にゆかりのあるお寺、高岡市・伏木の勝興寺のリポートです。

高岡と金沢の関わり

17世紀初め、高岡は加賀藩2代藩主前田利長によって開かれ、以来金沢と深い関わりを持ってきました。ちなみに高岡市の国宝瑞龍寺は利長の菩提寺です。

今回訪ねた伏木の勝興寺は加賀藩主が住職を務めたことで知られています。

重要文化財 勝興寺(しょうこうじ)

重要文化財 勝興寺 唐門

JR氷見線・伏木駅から少し急な坂を登って数分のところに位置する勝興寺は、浄土真宗本願寺派の寺院です。

元は小矢部市にあり、一向一揆の寺として勢力を持っていましたが、織田信長方の武士に焼かれ、現在の場所に移ってきました。

国指定重要文化財に登録されている唐門は18世紀に京都で建てられ、明治になってから北前船で運ばれ移築されました。

勝興寺の歴史

重要文化財 勝興寺 本堂 

約3万平方メートルの境内を持つ勝興寺が建つ以前、ここには越中国の国府(奈良から平安時代にかけて国司が政務を執る国庁があったところ)が置かれていました。

万葉集で知られる大伴家持が国守(奈良時代の律令制下の地方長官)として赴任していたことで知られています。

その後、古国府城(ふるこくふじょう)という平城(ひらじろ・平地に築かれた城)が築かれました。

周囲に土塁や空堀、太鼓楼(たいころう・太鼓を叩いて非常事態を知らせる建物)があるのはその名残りです。

唐門の彫刻

勝興寺だけでなく富山県の寺院の彫刻には目を見張るものがあります。富山県南砺市「井波彫刻」が有名で、日本遺産にも登録されています。

その技術は県外にも知られ、2018年に復元された名古屋城・本丸御殿にも井波彫刻が施されています。

勝興寺の七不思議

勝興寺に伝わる七不思議。ひとつひとつ探すのも面白そうですね!天から降った石ってもしかして隕石⁈ 想像をかき立てられます。

【勝興寺の七不思議】天から降った石

唐門から本堂に向かう途中、早速見つけた七不思議のひとつ「天から降った石」なんでも200年前に伏木の浜に落ちてきたものだとか。本当に空から降ってきたのならやっぱり隕石⁈謎は深まります。

【勝興寺の七不思議】実ならずの銀杏

樹齢300年の「実ならずの銀杏」なんでも銀杏には元々雄と雌があるらしく、実がなるのは雌なんだそうです。しかしなぜこれが七不思議入りしたのかが疑問です。

伝統の大ろうそく「デカローソク」

本堂に入ると真っ先に目につくのが巨大な一対のろうそく。伝統の大ろうそく「デカローソク」は毎年1月に行われる御正忌報恩講(御満座法要)に火が灯されるそうです。かなりインパクトのある巨大ローソクです。

そして欄間(らんま)も要チェック。修復を終えたばかりだけあって金箔が眩しい輝きを放っています。彫刻も素晴らしい。

かつて井波の彫刻師はこぞって寺院の彫刻を請負い技を競ってきたと聞いたことがあります。

加賀藩主が住職を務めた寺・勝興寺

かつて勝興寺は加賀藩十一代藩主前田治脩(はるなが)が住職を務めた寺でした。

5代藩主の十男として生まれた治脩は9歳で勝興寺に移りました。当時金沢から伏木までの旅に使ったのがこの小ぶりの籠です。

知らない土地に向かう9歳の幼い少年はこの籠の中で何を思ったことでしょう。つい母心が募ります。

のちに治脩は還俗(げんぞく・一度仏道に入ったものが俗人に戻ること)して金沢へ戻ります。兄たちが次々に病死し、十男の治脩に藩主の座が巡ってきました。運命のいたずらと言いましょうか、ドラマチックな人生を送った人だったんですね。

【勝興寺の七不思議・番外編】本堂柱の昇り龍

七不思議入りしていないけれど、番外編ということで、こちらは本堂の柱の昇り竜。昔は龍が水を運んでくると信じられ、火除けのお守りだったそうです。

かつて金沢城が焼失した時、奇跡的に門が焼け残り、その門に施された龍が水を呼んで延焼を防いだとして、今も残されています。

【まとめ】勝興寺の見どころ

今回は加賀百万石とゆかりのある寺ということで勝興寺に伺いました。前田家から経済的な支援があったおかげでしょうか。本堂の欄間や組物(寺院の軒を支える木組み)彫刻のクオリティが高いことにとても驚きました。写真では到底伝わりきれないのでぜひご自分の目で確かめに行ってみてください!

勝興寺へのアクセス

JR

名称勝興寺
住所〒933-0112 富山県高岡市伏木古国府17番1号
電話番号0766-45-0008
拝観時間午前9時から午後4時(入場は午後3時30分まで)
拝観料工事協力金  大人:500円  小人(中学生以下):無料
アクセス*JR北陸新幹線 新高岡駅より城端線
高岡駅下車 > 氷見線乗換 > 伏木駅下車 > 徒歩5分
*JR氷見線 伏木駅下車 > 徒歩5分
*加越能バス
伏木経由氷見行き・伏木循環・古府循環にて > 伏木駅下車 > 徒歩4分
*自動車・タクシー 高岡駅より約20分
*能越自動車道 高岡北ICより約15分、高岡ICより約25分
*北陸自動車道 小杉IC・砺波ICより約40分
ウェブサイトhttps://www.shoukouji.jp
その他観光ボランティアガイドの案内を希望されるグループ・団体の皆様は、3日前までにご連絡ください。

【伏木の見どころ】高岡市伏木気象資料館

JR伏木駅から勝興寺に行く坂の途中に立つ高岡市伏木気象資料館は全国初の私立測候所です。今も気象データを送っている現役の測候所で、元は灯台でした。

伏木は江戸時代、北前船の寄港地として栄えた港町で、北前船の船主が多く住んでました。

名称高岡市伏木気象資料館
住所〒933-0112 富山県高岡市伏木古国府12−5
電話番号0766-44-6905
入館時間9:00 – 16:30
休館日火曜日
ウェブサイトhttps://www.city.takaoka.toyama.jp/syoubun/kanko/bunka/shisetsu/kisho0.html

【伏木の見どころ】越中国守館址

気象資料館と同じ敷地に立つ越中国守館址。奈良時代、国守として赴任していた大伴家持が住んでいた館がこの辺りにありました。

家持が過ごした1300年前の伏木はどんな街だったのでしょう。時代は移り変わり、かつては北前船で栄え、今はその面影を残す集落があります。

昔の姿を想像しながら伏木の街をぶらり散策するのもいいですね。

投稿者プロフィール

fumie
金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。

この記事を書いた人

fumie

金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。