富山県朝日町名物 バタバタ茶を堪能する旅|金沢・旅

英語のスペシャリスト・金沢在住の通訳案内士のfumieです。

さて今回はお隣の富山県は朝日町の旅のリポートをお送りします。

山間の集落に古くから伝わる素朴なお茶「バタバタ茶」に興味のある方はぜひお読みください!

【バタバタ茶】富山県朝日町で室町時代から飲まれ続ける健康茶

今回の旅の目的は、朝日町蛭谷(ひるだん)地区に古くから伝わる「バタバタ茶」

その歴史は室町時代に始まり、15世紀には浄土真宗の親鸞上人が布教の際、このお茶を説法の時に利用したと言われています。

蛭谷地区では月命日や出産など、おめでたい行事になると、家族だけでなくご近所さんを招いて、一緒にバタバタ茶を飲む風習があるのだとか。

そして抗酸化作用の高いポリフェノールや女性ホルモンを促進するイソフラボンが多く含まれている健康茶であることが最近の研究で明らかになっているそうです。

【バタバタ茶伝承館】集落の人が集まる交流の場

今回茶道仲間と訪れた富山県朝日町は金沢中心部から車で約1時間半。ナビで検索しつつも不安になりながらようやく目的地のバタバタ茶伝承館に到着です。

小さな建屋はバタバタ茶の製造工場と喫茶スペース。お昼を過ぎて集落の人がわらわらと集まってきました。

ここ伝承館は地域の交流の場となっています。私たちもお仲間に入れていただき早速名物バタバタ茶を頂きます。

ちなみにここでは誰でも無料でお茶をいただくことができます。お茶請けの白菜のお漬物と里芋煮の美味しいこと!

集落の皆さんとのおしゃべりも弾み、つい長居してしまいそうです!

鍋で煮出して飲む真っ黒なバタバタ茶

喫茶コーナーのカウンター中央に置かれた大きな鍋に入った黒いお茶。これがバタバタ茶です。

白い木綿袋の中に茶葉が入っていて、それを煮出して頂きます。少なくなったらその都度お湯を継ぎ足していきます。

バタバタ茶専用の茶せんとお茶碗

バタバタ茶の使うお道具・茶せんと五郎八茶碗(ごろはちぢゃわん)

すす竹で出来た茶せんは二本で一組。夫婦茶せんと呼ばれています。五郎八茶碗は朝日町に伝わる焼き物で、抹茶茶碗よりも少し小さめででかなり厚みがあります。

鍋から汲んだお茶を茶碗に入れて、抹茶のように茶せんで泡立てます。泡立てたお茶は軽くてまろやか!番茶やほうじ茶のように素朴な味わいです。

塩を入れるとさらに泡が立って味がまろやかになるんだそうです。

バタバタ茶の名前の由来は?

そもそもなぜこの茶が「バタバタ」茶と呼ばれているのでしょうか?この日の伝承館のお当番の方が教えてくださいました。

地域では元々「お茶」とか「黒茶」って呼んでいたそうですが、ここ最近になって「バタバタ茶」と呼ぶようになったとのことです。

茶せんを「バタバタ」と忙しく動かして泡立てる仕草からそう名付けられたそうです。なるほど!これで謎が解けました!

しっかり泡立てるコツは、茶せんの持ち手部分を茶碗に打ち付けるように動かすこと。

厚みのある丈夫な五郎八茶碗はバタバタ茶にぴったりのお茶碗ということですね!

バタバタ茶ができるまで

お茶を頂いた後、同じ建屋の中の工場でバタバタ茶の製造工程の説明をしていただきました。

7月から8月にかけて茶摘み。バタバタ茶はヤブキタ茶という品種で日本で一番多く栽培されています。

摘まれた茶葉を裁断した後、蒸し器で蒸します。

温度を下げながら丁寧に揉まれた茶葉を、この大きな室(むろ)に入れて常温で発酵させます。室の周りにかけられた麻がすっかりお茶の色に染まっています。

発酵が進むとだんだんと室の温度が上がっていくので、別の室に入れ替えて温度調節をします。これを10回から15回くらい繰り返します。

出来上がった茶葉を半日陰干しして、さらに2、3日天日で乾燥してようやく完成。

お茶ってすごく手間がかかっているんですね!これからはありがたく飲ませていただきます!

今も昔も地域の絆を深めるバタバタ茶

富山県朝日町観光協会 公式 観光情報サイトより

お茶を飲みにきていた地域の方によると、昔農繁期が終わると集落の男性の多くが街へ出稼ぎに行き、留守を預かる女性たちが集まってこのバタバタ茶を飲みながら地域の絆を深めていったのだそうです。

こうやってみんなでお茶を飲む習慣が定着したんですね。お茶請けの山菜やお漬物などを摘みながらのおしゃべりは今もこのバタバタ茶伝承館で続いています。

初めてきたのにまるで親戚のうちに遊びに来たようなアットホームな伝承館。地域の方のおもてなしと素朴なお茶で心も体もあったまりました!

バタバタ茶伝承館までのアクセス

朝日ICから車で12分ほど。山間に伸びる道を行きます。ちょっと不安になった頃に着きます(笑)

名称朝日町立 バタバタ茶伝承館
住所〒939-0712 富山県下新川郡朝日町蛭谷484
電話番号0765-84-8870
営業時間10:00 〜 15:00
定休日火・木・日曜定休 ※冬季12月中旬~2月末は閉館
料金無料
駐車場あり

【ちょっと寄り道】ケンミンshowにも登場した「たら汁 栄食堂」

お昼は宮崎・境海岸、通称ヒスイ海岸近くのたら汁のお店「たら汁 栄食堂」へ。

人気バラエティ番組「ケンミンshow」にも登場し一躍有名になったお店です。

お店周辺にはたら汁のお店がいくつかあるため、「たら汁街道」と呼ばれているのだとか。

もちろん注文はたら汁。5人で行ったので5人分を注文しようとすると「そら多いわ、3人前でいいよね」とお姉さん。

しばらくして運ばれてきたアルミ鍋に入ったたら汁。3人前でもかなりのボリューム!お姉さんの判断に一同納得。ライスも小にしておいて良かった!

たら汁以外にお刺身、煮物など、好きなお料理の小鉢が選べます。しかしたら汁だけでもかなりお腹が膨れるのでサイドディッシュ選びは慎重に。

すっかりお腹が膨れて満足の一行でありました!

たら汁 栄食堂へのアクセス

名称たら汁 栄食堂
住所〒939-0704 富山県下新川郡朝日町境647−1
電話番号0765833355
営業時間7:30 – 19:30
定休日第4月曜(祝日の場合翌日)

投稿者プロフィール

fumie
金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。

この記事を書いた人

fumie

金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。