英語のスペシャリスト・金沢在住の通訳案内士のfumieです。
金沢の人気観光スポット・ひがし茶屋街の近くに2つの神社があることをご存知ですか?
実はそれらは加賀藩前田家とひがし茶屋街の芸妓さんと非常にゆかりの深い神社なんです。
今回は2つの神社、我が家の氏神様でもある宇多須(うたつ)神社と通称「小さいお宮さん」こと菅原神社のレポートです。
宇多須神社は我が家の氏神様です
我が家の氏神様・宇多須神社。昔からうちのお義父さんは「毘沙門」(びしゃもん)と呼んでいました。毘沙門とは北の方角を守護する神様です。
昔から北東は鬼門(鬼が入ってくる方位)と信じられていたため、金沢城の北東にあった宇多須神社は鬼門を守る役割をしているとして「毘沙門」と呼ばれるようになったそうです。
春と秋のお祭りの季節になると奉納袋が配られます。袋の表に描かれている百足(むかで)は毘沙門のお使いで、魔除けになるそうです。
祭りの幕に加賀藩前田家の家紋
最近ではあまり見かけなくなりましたが、お祭りになるとご近所の玄関に幕をかけられます。私が嫁いできた頃は我が家も幕を出していました。
幕には加賀藩前田家の家紋「剣梅鉢」が染め抜かれています。前田家と地域の氏神様である宇多須神社との関わりを表しています。
【宇多須神社】加賀藩祖 前田利家を祀っていた神社
宇多須神社の創建は養老2年(718年)今からほぼ1300年前です。
16世紀終わりから明治の初めまでは、「卯辰八幡宮」として加賀藩祖前田利家をお祀りしていました。そのため歴代の藩主に敬われてきた神社だそうです。
明治になって利家の御霊は尾山神社に遷され、卯辰八幡宮は宇多須神社へと改名されました。
前田家ゆかりの神社ともあって、家紋の剣梅鉢があちこちに見られます。藩政期から伝わる祭具の中には前田家の家紋が施されているものもあって、神社とは深い関わりを持っていたようです。
神前結婚式の後はひがし茶屋街をお練り
宇多須神社はひがし茶屋街から近いこともあって、ここで神前結婚式を挙げてから、ひがし茶屋街のメインストリートをお練りする新郎新婦を見かけます。
ひがし茶屋街の昔ながらの街並みを歩けばきっといい思い出になるでしょうね!
藩主の病を治した井戸
神社の本殿の裏手にある古い井戸も前田家と関わりがあります。昔、この井戸から汲まれた水はご神水として大切にされてきました。
5代藩主前田綱紀が疱瘡にかかった時、井戸のご神水にお酒を入れた酒湯(ささゆ)を体にかけると治ったという逸話があります。確かにパワースポットのような雰囲気です。
神社に忍者⁈
本堂の縁の下に潜む忍者!神社に忍者がいた、という歴史的な背景があるのかどうか定かではありません!
実は忍者がもう一人境内の何処かに潜んでいます。どこにいるか探してみてくださいね!
アクロバチック!「逆さ狛犬」発見!
鳥居のそばに立つアクロバチックな「逆さ狛犬」なんでもその昔狛犬を彫る職人たちが腕を競って、見る人が驚くような奇想天外な狛犬を制作したのだとか。
この「逆さ狛犬」は21世紀美術館の向かいの石浦神社にもいますので探してみましょう!
宇多須神社オリジナルの絵馬
干支絵馬のデザインは版画家の故クリフトン・カーフさんによるもの。アメリカ人のカーフさんは金沢在住中の12年間宇多須神社の絵馬のデザインをされたそうです。
祈願絵馬は魔除けの百足と前田家の家紋・剣梅鉢。サムライカラーの群青色がクールですね。
境内に奉納された絵馬を見るとアイドルグループJuice=Juice のファンからのものが多くてびっくりしました。
なんでも彼女らのミュージックビデオの撮影が神社で行われたらしく、それがファンの中で広まったようです。
ひがし芸妓が踊りを奉納する節分祭
宇多須神社が一番にぎわう節分祭。2月初旬の立春の前日に行われます。ひがし茶屋街の芸妓さんたちが踊りを奉納。艶やかな芸妓さんの舞にうっとり。
振る舞い酒や芸妓さんの豆まきもあって毎年たくさんの人です!ひがし茶屋街に近い宇多須神社ならではの演出です。
【菅原神社】ひがし芸妓が敬う「小さいお宮さん」
宇多須神社のお向かいにある通称「小さなお宮さん」こと菅原神社。
菅原神社といえばもともとは学問の神様・菅原道真をお祀りする神社。
こちらの神社ではひがし茶屋街が開かれた文政3年(1820年)からずっと芸妓さんたちの神様としてお祀りされています。
秋のお祭りということもあって茶屋街のお茶屋さんやお店からお供えのお酒がずらり。
左側には刀をくわえた獅子頭が。金沢に古くから伝わる加賀獅子は魔除けとして神社に奉納されています。刀をくわえているのは安泰の世を表しているそうです。
性別のある年代物の狛犬!
菅原神社には時代を感じさせる狛犬がいます。基本的に狛犬には性別がないのが普通ですが、ここの狛犬にははっきりと性別がわかります。
なぜかいうと・・・やっぱり恥ずかしいので確かめに行ってみてください!
菅原神社のシンボル「良縁の松」
菅原神社の境内に立つ大きな二本の松・クロマツとアカマツ。幹を見ると色が違うのが分かります。
クロマツを男性、アカマツを女性になぞらえて、全てのことに良縁が叶えられますように、という思いが込められているそうです。どちらも御神木として大切にされています。
松に残された生々しい傷痕
アカマツに残る生々しい傷は、太平洋戦争時に幹から油を採取した痕です。このように傷が残った松は兼六園でも見ることができます。
当時は飛行機を飛ばすための燃料として松から油を採取したそうですが、燃費が悪くて結局使えなかったそうです。なんだか松がかわいそうになってきました。
【まとめ】
侍を祀る寺として始まった宇多須神社、そしてひがし茶屋街とゆかりの深い菅原神社。
どちらも地域の人にとっても身近なお宮さんです。なぜか神社に行くと清らかな気分になります。
ひがし茶屋街に来られたらぜひこの二つの神社に参拝してみてくださいね!
宇多須神社と菅原神社へのアクセス
宇多須神社は最寄りの「橋場町」バス停から徒歩約5分。ひがし茶屋街のメイン通りから歩いてすぐです。
菅原神社は宇多須神社のお向かいです。
名称 | 宇多須神社 |
住所 | 金沢市東山1-30-8 |
電話番号 | 076-252-8826 |
ウェブサイト | https://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j0324/ 石川県神社庁より |
その他 | 御朱印は境内社務所にて受付中 |
名称 | 菅原神社 |
住所 | 石川県金沢市東山1-27-8 |
その他 | 御朱印は郵送のみ受付中 |
投稿者プロフィール
- 金沢生まれほぼほぼ金沢育ち。28年間英会話講師を務め、長年の夢だった全国通訳案内士の資格を取得。金沢を訪れる海外からの旅行者をアテンドしています。趣味は、英語学習。留学経験なしの「純ジャパ」で英検1級、TOEIC950点を取得した経験を生かして英語学習者に役立つ情報とガイドの仕事で得た地元・金沢の情報とその魅力を紹介していきます。
最新の投稿
- 仕事2024年8月20日通訳ガイド Vibram 5本指シューズで街歩き|金沢・仕事
- 仕事2024年8月18日通訳ガイドとしての実績とこれから|金沢・仕事
- グルメ2024年8月17日福光屋 ひがし茶屋街で日本酒テイスティング|金沢・観光スポット
- 文化2024年2月7日金沢・福光屋の蔵内見学で日本酒の世界へワクワクの旅